新年のごあいさつ

2012-01-01

大場です。
新年、あけましておめでとうございます。
2012年を迎えるにあたり、普段はゼミ生に任せきりの大場研のブログに
はじめて書き込むことになりました。

宮下君が卒論の書き始めを現地でと、
荒れる日本海を一人佐渡へ渡ったことを、先のブログで知りました。
確かに彼は,暮れに「佐渡に行きます」と言っていました。
そのときは半信半疑で聞いていましたので,まさかと半分あきれましたが,
フィールドワーカーのポリシーともいえる「論文は足で書く」実践者として,
大いに敬意を表したいと思います。

佐渡の町家調査は,同地の金銀山に関わる文化的景観調査の一環ですが,
農家や漁家との関係も睨みつつの2年間(+α)にわたる本格的な家屋調査で,
その成果には町家研究の新たな鉱脈を掘り当てたような確かな手応えを感じています。

佐渡の調査は鉱山住宅の調査と二本立てで,こちらは杉山さんの担当です。
社宅は近代住宅史研究のホットなテーマなだけに,佐渡金銀山住宅の研究は
社宅研究に新風を吹き込んでくれそうです。

卒論はあと二本。
木口さんと香西君は中国大連市における戦前期の住宅史研究に取り組んでいます。
大連には日本人のために建てられた当時の集合住宅が現在も大量に残っていますが,
木口さんはその中でも昭和前期の「下駄履きアパートメント」に着目し,
日本と比較しつつその先駆性を意義付けようとがんばっています。

修論は,辻さんが持ち前の集中力と粘り強さを遺憾なく発揮しています。
佐渡や大連とは打って変わり下鴨地域が対象の「ご当地」研究で,
下鴨一帯の住宅地の形成過程を明らかにし,
いまだに多く残る近代住宅の意義付けを行おうとするものです。
下鴨一帯の道という道はすべて踏破したらしく,
その圧倒的な調査量に加え,着実なデータ処理には相変わらず舌を巻かされっぱなしです。
普段見慣れた下鴨の景観がどのようにして生まれ,
何気ない景色のどこに歴史的価値があるのか?
下鴨社家町の研究で一躍名を挙げた辻さんですが,修論もまた目から鱗の成果が期待できそうです。

D論は,呉さんが最終の追い込み段階に入っています。
はたして間に合うのか,気が気ではありませんが,
戦前日本の植民地とされた台湾における少数民族,アミ族住居の住宅改善(「改良蕃屋」と呼ぶ) の実態を探ろうとする興味深い研究です。
アミ族は台湾少数民の中で最大の民族で,戦前に建てられた住宅もまだ多く残っているらしく,
この研究では,それらの実測調査等を通して,当時の台湾総督府の改良蕃屋政策の意図やその実際,さらには戦後への影響までもが詳しく解明されるはずです。
これまで少数民族の住居といえば伝統的住居にばかり目が向けられていただけに,
そのテーマと視点は画期的で,大きな成果が期待されます。

以上,大場からの年頭のご挨拶は,冒頭に宮下君の佐渡行きに触れたために,
その流れで本年度のゼミの卒論,修論,D論のラインナップを紹介する形となりました。
単なる挨拶よりは情報的価値もあり有意義だったのでのは,と思います。

このほかにも,
昨年は富田林市(大阪府)旧寺内町(重伝建地区)にある興正寺別院の調査に取り組みましたが,
特にM1(博士前期課程1年)の渡辺さんは図面作成の中心メンバーとしてがんばってくれました。
同じくM1の松崎さんは亀岡市(京都府)の旧街道沿いの町家調査を担当し,
檜垣さんは新潟市内の花街建築の調査を新潟大学の岡崎研究室とともに取り組み,同時に周辺の町家等も今後順次調査する予定です。

最後に,D2(博士後期課程2年)の田中さんは19年ぶりに募集があった
奈良市文化財保護課の採用試験にみごとパスし,今年春から勤務予定。
直属の上司は,大場ゼミ最初の修士終了生である小林氏なので,
彼の採用から19年ぶりの新人が同窓ということになりました。

結局,大場自身のことは一言もふれぬまま,ご挨拶を終えようとしています。
4月の年頭のご挨拶に,この点は改めてと思いますが,
今年は,機会

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